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会社から減給された
仕事のミス等を理由として、平然と減給や給与カットする経営者の話は絶えません。しかし、減給処分とは,労働者に大きな不利益を生じるので、使用者は就業規則の定めに従ってのみ行うことができます。
減給処分された
減給処分とは、懲戒処分の一種で、職場の規律違反等に対する制裁として,本来の賃金から一定額を差し引くものです。労働者の同意なく、会社が一方的に給与の減額を行います。減給できる金額の限度は労働基準法で規定されています。
1回の額、、、平均賃金の1日分の半額を超えてはならない。
総額、、、1賃金支払期の賃金総額の10分の1を越えてはならない。
しかし、減給が上記の範囲内だからといって、むやみな減額は認められません。労働者の給与の額は、雇用契約の重要な部分であり、減給は契約内容を会社が一方的に変更することと同じです。
従って、減給処分の場合にも、客観的に合理的な理由と、社会通念上相当な理湯が求められます。
減給に同意したといわれたら
使用者の中には、一方的に減給したにもかかわらず、労働者が黙っていると、「異議を出さなかったのだから黙示の同意がある。」と主張する人も少なくありません。
過去の裁判例では、同意は自由意思に基づくものであることが必要として、単に異議を出さなかっただけでは同意したとはいないと認めています。
現在の労働審判や訴訟でも、減給の同意書があるような明らかな場合を除いては、減給は容易には認められないと考えられています。
降格されて減給されたら
降格を伴う減給の場合、過去の裁判例では、会社の人事権の行使としての降格は裁量的判断により可能であると判断されています。
しかし、人事権の行使は労働契約の合意の枠内でのみ行使できること、また、労働契約の枠内の降格であっても、賃金が相当程度下がるなど、労働者の不利益が大きい場合には、人事権の濫用として無効になるなど、降格に伴う減給が有効になる場合は限定されています。
従って、労務環境が十分に整備され、降格の規定が整っているような一部上場企業等は別として、使用者の裁量による降格処分に伴う減給は、人事権の濫用として無効になると考えられます。