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刑事事件Q&A
(※起訴されるまでの期間についてお答えします。)
ご家族は、逮捕されたときから48時間以内に検察官に送致されます。
そして、検察官に送致されてから24時間以内に、検察官はご家族を勾留(コウリュウ)すべきかどうか決め、勾留しようと考える場合は裁判官に対して勾留請求をすることになります。
この勾留という手続も、逮捕と同様に、ご家族の身体拘束する手続のことです。
検察官から勾留請求を受けた裁判官が勾留を認めれば、原則10日間、ご家族は更に身体拘束を受けることになります。もっとも、この期間が更に延長されることは珍しくなく、最大で通算25日間勾留される可能性があります。
この間、検察官はご家族を起訴するかどうか決めることになるのです。
以上の期間、原則として、ご家族は警察署から出ることが出来ず、警察署内で生活することになります。
まずは、勤務先に欠勤する旨の連絡をしなければなりません。この際、事案の性質に応じた慎重な連絡が必要になりますので、注意しなければなりません。
そして、それと並行して、ご家族を早期に釈放してもらい、勤務先に出勤できるように、色々な面で準備を進めていかなければなりません。
なお、事件の内容によっては、勤務先に警察署から連絡が行く場合も想定されます。例えば、ご家族の勤務先を捜索する場合です。このような場合は、勤務先に事件のことが発覚してしまいます。
このような場合は、法律上、「保釈」の請求をすることは出来ません(「保釈」は、起訴された後に裁判所の判断により身柄拘束から解放される手続のことを指します。)。そこで、担当検察官の判断による釈放(不起訴処分、処分保留による釈放等。なお、後者の場合は、あくまでも処分が保留されている状況であり、不起訴処分が出されたことを意味しませんので、十分に注意が必要です。)を求めていくことになります。なお、保釈と釈放は、身体拘束から解放する効果を有するという意味ではほとんど同じです。
被疑事実が真実であれば、事案の性質により異なるのですが、被害者の方に対し謝罪をした上で、被害弁償を行うことが必要となることが多いと思われます。この際、単に被害弁償をするだけでは足りず、必要事項が記載された示談契約書を作成することを忘れてはなりません(示談をすることは、後に起訴された場合にも重要な意味を有します。)。また、それと並行して、ご家族の日常生活の様子や、周囲の協力者の存在について整理した書面等の作成をしたり、検察官と協議したりすることが必要となってきます。
他方で、被疑事実が真実でなければ、根拠をもって検察官に対し主張をしていかなければなりません。この場合は、専門的な見地からの事実整理や根拠書類の作成等が必要になります。
Q4.警察署に家族に会いに行くことはできますか?
裁判所が面会を禁止している場合を除き、一般市民が警察署に面会に行くことは可能です。
ただし、面会には制限があり、一般的には、平日9時から17時までのうち1回15分程度制限されており、警察官が面会に立ち会うことになっています。また、ご家族が逮捕(勾留)されている警察署に、面会をしたい日の当日に電話を掛け、予約を取らなければなりません。予約が取れなければ、面会に行くことが出来ないのです。
他方で、弁護人に選任された弁護士の場合は、このような制限はありません。極めて迅速かつ円滑な面会が可能なのです。
Q5.警察署にいる家族に差し入れすることはできますか?
可能です。もっとも、内容や数量に制限がありますので、予め警察署に電話をして確認をした方が安全です。
なお、一般に衣類や書籍、金銭は差入れが可能なことが多く、飲食物やタバコの差入れは出来ないことが多いようです。金銭を差入れてあげられれば、ご家族は警察署内で飲食物やシャンプー等を買うことが出来ます。
郵送による差入れも可能です。
このような事件は在宅事件などと呼ばれています。
逮捕勾留されているような場合とは異なり、処分内容が決定されるまでの期間が比較的長期に及ぶことが多いと言われています。また、最終的な処分内容については、事案の性質等により異なるため一概に答えることは難しいと言えるでしょう。
被疑事実が真実であるならば、捜査機関からの出頭要請には積極的に応じるべきであると考えられるケースが多いでしょう。もっとも、取調べの際の供述内容は極めて重要な意味を有するため、仮に被疑事実が真実であっても、供述内容は慎重に検討しなければなりません。
起訴されてしまうと、身体拘束期間は比較的長期に及びやすく、刑事裁判が終わるまでは身体拘束が続くことが多いと言えます。
そのため、起訴後は「保釈」に向けた活動をしなければなりません。
具体的には、ご家族が罪証を隠滅するおそれがないことや、逃亡のおそれがないこと等の事情を根拠をもって主張しなければなりません。
更に、保釈に当たっては保釈金が必要になりますので、現金が必要です。保釈金の額は事案によって様々ですが、数百万円に及ぶことが少なくなく、一括払いが必要になるのです。分割払いやクレジットカード払いなどは一切認められていません。
なお、保釈に当たっては、裁判所との面談の中で保釈の必要性を訴えたり、保釈金の額について協議することが可能です。裁判所に対して、保釈について直接訴えることのできる場である面談は、保釈許可を貰うに当たり、事実上必須であると言えます。
一般的に言えば、いわゆる自白事件であれば、起訴からおおむね3~4ヶ月程度で判決が出されることが多いと思われますが、あくまで裁判所が決めることですので、これよりも長くなることは当然ありえますので注意が必要です。
また、否認事件であれば、判決までの期間は当然長くなります。
Q9.刑事裁判では、どのような手続が行われるのでしょうか。
裁判員裁判導入後、刑事裁判の流れは事案により異なることが増えており、一概には言えませんが、裁判員裁判以外の裁判(自白事件)における一般的な手続の流れについて、ご説明致します。
まず、裁判所が、被告人に対し、氏名や本籍地、職業などを尋ね、人違いではないか確認する作業を行います。
人違いではないことが確認された後、検察官が起訴状に記載されている公訴事実を朗読します。簡略化して言えば、公訴事実とは、被告人が犯したと検察官が主張する犯罪事実のことです。
検察官による起訴状朗読後、裁判所から被告人に対し黙秘権の告知があり、その上で被告人には、検察官が読み上げた当該事実に間違いがないか述べる機会が与えられます。
その後、検察官が証拠により証明しようとする事実を明らかにし(「冒頭陳述」と言います。)、証拠の取調べを請求します。
弁護人は、検察官の請求する証拠に対し意見を述べるのですが、証拠意見は裁判において非常に重要な意味を有しています。
そして、証拠として採用された証拠のみが取調べられた後、弁護人側も証拠請求を行います。多くの自白事件の場合、近親者や雇用主その他の被告人と親密な関係にある方を証人として(「情状証人」と言います。)尋問することが多いでしょう。この場合は、法廷の証言台の前に立ち、虚偽の証言をしないという宣誓の上で、証言をして頂きます。また、その他に、被告人に有利な証拠(例:雇用主が引き続き被告人を雇用する旨の記載がある書面)の取調べを請求します。
このような証拠調べ手続が終わった後、検察官による論告、求刑、弁護人による弁論が行われ、審理は終結します。
自白事件であれば、以上の手続を1回の審理で行ってしまいます。
そして、審理終結後に再度期日が指定され、判決言い渡しとなるのです。
いわゆる自白事件であれば、ご家族には情状証人として刑事裁判に出廷頂くことが多いと言えます。
もちろん、出廷に際しては、事前に弁護人と証人尋問の準備をすることが多く(本番を想定して、問いに答えて頂くものです。)、当日、いきなり弁護士から尋問を受けるということはありません。ただし、当日は裁判官や検察官からも尋問を受けることになりますが、事前に尋問内容を教えられることはありません。
また、被害者が存在するような事案では、被害者との間で示談契約を締結出来ていない場合は、締結に向けた交渉も必要です。示談契約を締結する際には被害弁償を行うことがほとんど必須であり、弁償金の準備が必要になります。
なお、法律上、執行猶予判決を得ることが出来ない場合があります。この点には十分注意が必要です。
無罪を勝ち取るためには、初期の捜査段階から弁護活動を進めなければなりません。そのため、弁護人の選任を強く推奨します。そして、弁護人に選任された弁護士に早急に接見に行ってもらうべきです。
なお、当番弁護士制度や被疑者国選弁護人制度により、比較的早い段階で弁護士が接見に行っている可能性もあります。この場合は、その弁護士と早急に打合せをすべきでしょう。
Q12.裁判員裁判手続は全ての事件に適用されるのでしょうか。
裁判員裁判の対象となる事件は法律上、重大事件に限定されています。
具体例としては、殺人、強盗致死傷、傷害致死、強制わいせつ致死傷、強姦致死傷、危険運転致死、現住建造物等放火、身の代金目的誘拐、覚せい剤取締法違反(ただし、営利目的で覚せい剤を密輸入した場合等)などが挙げられます。
これら以外の犯罪については、裁判員裁判とはならず、通常の手続にしたがった刑事裁判となります。
Q13.裁判員裁判手続は、他の一般的な手続とどのような点が違うのでしょうか。
大きな枠組み自体は、他の一般的な手続と変わりません。
しかしながら、一般市民である裁判員が手続に関与することから、裁判員が判断(評議、評決)しやすいよう様々な工夫が施されています。なお、裁判員裁判では、裁判官3名と裁判員6名(これに加えて、補充裁判員が選任されます。)が裁判体を形成することになります。
例えば、公判が始まる前に、公判前整理手続が必ず行われ、争点の整理と証拠の整理を予め行うこととされています。時間的に余裕がない裁判員が、一定期間に集中的に審理をし、判決を出すためです。
また、審理段階においても、裁判員が理解しやすいような工夫を検察官、弁護人側が行っていくこととされています。また、裁判員が証人や被告人に対して直接質問をする機会も設けられています。
そして、判決を出すに当たって、裁判員が裁判官とともに、評議、評決を行うのです。議論を尽くしても意見の一致が見られない場合は、評決は一定の条件に従った多数決によって行われることになります。
Q14.即決裁判手続とはどのような手続ですか。
この手続は、刑事裁判の迅速化を図るために創設されたものです。
①事案が明白である上に軽微であること、②証拠調べが速やかに終わると見込まれることその他の事情を勘案し、相当と認めるときは、検察官は、起訴状を裁判所に提出する際に、即決裁判手続の申立てをします。なお、この申立てには被告人の同意も必要になります。
そして、その後、公判期日において、被告人が有罪であると認め、裁判所が相当と認めた場合には、裁判所は、即決裁判手続で審判する旨の決定を行うことになるのです。
即決裁判手続は、通常の手続とは大きく異なり、被告人に対して懲役刑や禁錮刑を科す場合には、必ず執行猶予が付されることになっています。また、通常よりも厳格ではない方法で証拠調べが行われ(いわゆる伝聞法則は、原則として適用されません。)、その日のうちに判決がなされます。
したがって、被告人にとっては、刑事裁判手続を早期に終えることが出来るという利点があります。
もっとも、事実誤認を理由として控訴や上告の申立てをすることができません。そのため、即決裁判手続に当たって被告人ないし弁護人の同意は、判決が言い渡されるまでの間、いつでも撤回することができ、撤回された場合は通常の手続により審判がなされることとなります。
Q15.略式手続とはどのような手続ですか。
通常の刑事裁判手続は地方裁判所で第一審が行われますが、略式手続は、簡易裁判所において行われる手続です。
検察官は、被疑者を起訴するときに、公開の法廷における厳格な手続に従った審理及び判決を求めず、より簡便な手続で判決に代わる裁判を請求することが出来、この場合に用いられる手続を略式手続と言います。なお、この手続を用いるに当たっては、被疑者に異議がないことが条件となっています。
略式手続は、法廷を開かない書面審理で行われ、検察官が提出した証拠を裁判官が検討して、相当と認めた場合に略式命令を出すことになります。略式命令で科すことのできる刑罰は、100万円以下の罰金又は科料に限られます。
もっとも、略式命令に不服がある被告人や検察官は、一定期間内に正式裁判の申立てをすることができます。そして、その申立てがなされた場合には、略式命令は効力を失います。
未成年者の場合は成人の場合と手続が異なりますので注意が必要です。
まず、逮捕されてから48時間以内にお子さんは検察官に送致されます。この点は、成人と同様です。
検察官は、送致を受けてから24時間以内に、①成人の場合と同様に裁判官に対し勾留を請求するか、②裁判官に対し勾留に代わる観護措置を請求するか、③家庭裁判所に送致するか決めなければなりません。
少年法上は、②が原則とされており、お子さんは最大10日間の限度で少年鑑別所に収容された後、家庭裁判所に送致されることになっています。しかしながら、現実には、①の措置を採られるケースが少なくなく、この場合には警察署に10日(延長されれば更に10日間)、収容された後、家庭裁判所に送致されるケースが多いと言えるでしょう。
少年事件の特徴としては、このように一旦、必ず家庭裁判所に送致されることにあります。
以上の期間、原則として、お子さんは特定の警察署や少年鑑別所内で生活することになります。
Q17.家庭裁判所に送致された後の手続について教えてください。
家庭裁判所に送致されてから24時間以内に、家庭裁判所は観護措置決定をするケースが比較的多いと言えますが、在宅調査の措置が取られたり、それ以上手続を進めないとの判断が下されることもあります。
家庭裁判所から観護措置決定が出されると、原則2週間(最長4週間、なお例外的に8週間の場合もあります。)の期間、お子さんは少年鑑別所に収容されることになります。この間、お子さんは少年鑑別所内で生活をすることになります。
少年鑑別所内では、お子さんに対し、知能、性格、身体等に関する各種検査の他、鑑別所内におけるお子さんの行動の観察等が行われます。そして、このような観護措置の後、家庭裁判所において審判が開かれることになるのです。
お子さんの身体拘束を基礎づけている決定の効力が有効である限り、お子さんは外に出ることはできません。
そのため、①勾留決定に対しては、準抗告申立てや、勾留取消請求等の手段が必要になります。また、②観護措置決定に対しては、異議申立てや、観護措置決定取消申立て等の手段が必要になります。
このような手続は、専門的な見地が不可欠になりますので、弁護士に相談する方が良いでしょう。
Q19.鑑別所に面会に行くことは出来ますか。
面会は可能ですが、成人の場合とは異なり、誰でも面会に行けるわけではありません。少年事件の倍は、近親者や保護者など相当と認められる者に限り、面会が許可されますので注意が必要です。
また、面会時間も制限されており、平日の午前から夕方に限定され、夜間や土日の面会は認められていません。また、原則として職員の立会いのもとに面会をしなければなりません。この点は、面会に行く前に前に、少年鑑別所に直接問い合わせておくべきでしょう。
Q20.家庭裁判所での審判の後、私たちの子どもは外に出られるのでしょうか。
お子さんに対する審判の内容によっては、お子さんは外に出られない期間が続きます。
例えば、不処分、保護観察処分であれば、お子さんは外に出ることが出来ます。
なお、試験観察という判断の場合もお子さんは外に出ることが出来ます。この判断は、最終的な判断を先送りして、一旦お子さんを自宅や委託先において生活させ、その様子を調査した後、審判を下すというものです。試験観察期間は数カ月に及ぶことが多く、定期的にお子さんは家庭裁判所調査官との面談を行うことになります。
しかしながら、検察官送致(いわゆる「逆送」)や、少年院送致等の審判が下されば、お子さんに対する身体拘束はその後も続いてしまいます。
Q21.審判までの間、私たちは子どものために何をすべきなのでしょうか。
お子さんを取り巻く社会環境の調整が重要です。
まずは、家庭内における環境整備が不可欠です。家族がお子さんの更生を真に願うことが何よりも大切です。
また、就学先、就労先の維持も同様に重要です。更生のためには健全な社会生活を営むことが不可欠ですので、そのためには就学や就労は必須です。就学先、就労先と率先して協議し、退学、解雇処分がなされないよう尽力しなければなりません。
更に、交友関係の改善も必要な場合が多いと言えるでしょう。お子さん自身が独りの力で、不良交友を完全に断ち切ることは現実には難しいでしょう。家族や警察の力を借りて、早急に不良交友の遮断を行うべきです。
Q22.私は、犯罪の被害者となってしまいました。被害者参加制度とはどのような手続ですか。
この制度は、故意の犯罪行為によって人を死傷させた罪や、強制わいせつ、強姦、業務上過失致死傷、自動車運転過失致死傷、逮捕監禁、略取誘拐、人身売買等の罪に関する事件の被害者等(=被害者本人の他、被害者本人が死亡したり、その心身に重大な故障がある場合はその配偶者、直系の親族、兄弟姉妹)や、その法定代理人、これらの者から委託を受けた弁護士が、裁判所の許可の下に刑事裁判に参加する制度です。
参加が許可された場合には、相当と認められるときは、①公判期日における出席、②検察官の訴訟活動に対する意見陳述、③証人が情状について証言した際に、当該証言(犯罪事実に関するものは不可)の証明力を争うための尋問、④意見を述べるために必要な場合に、被告人に対する質問、⑤事実又は法律の適用に関する意見陳述等を行うことが出来ます。
この制度は、刑事裁判において有罪判決が出された場合に、この判決における判断を基礎にとした上で、刑事裁判の記録を民事裁判における証拠と位置づけ、損害の判断を行う制度です。
刑事裁判において有罪判決が出された場合は、直ちに審理期日が開かれることとされ、審理の回数も原則4回以内に制限されています。
この制度を利用するためには、検察官が裁判所に起訴状を提出してから、公判における被告人の最後の意見陳述までの間において、所定の事項が記載された書面が裁判所に提出されなければなりません。
なお、この制度は全ての刑事事件において利用できるのではないことに注意が必要です。
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