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少年事件手続の流れ
少年事件とは、対象者が20歳未満の少年、少女の事件のことをいいます。
少年事件には少年法が適用されますが、少年法は「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずること」を目的にしています(少年法1条)。
このように、少年事件は、少年の健全育成のために保護処分を行うという理念に基づくため、罪を犯した人に刑罰を科すという成人の事件とは異なる取扱いを受けます。
少年事件の対象者とは
少年法は、
- 犯罪を行った少年(犯罪少年)
- 14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年(触法少年)
- 将来犯罪を行ったり、刑罰法令に触れる行為をするおそれがある少年(虞犯(ぐはん)少年)
という3種類を、家庭裁判所の審判に付される「少年」として定めています(少年法3条)。
少年は未熟、柔軟なために、適切な教育の援助等によって更生が可能なため、刑罰はふさわしくないと考えられています。そのため、少年は犯罪を行っても、原則として刑罰を受けず、家庭裁判所の審判に付されます。
そして、少年事件では、成人の刑事事件とは異なる手続や処分がとられています。
- 少年事件では一般的に家庭裁判所の審判手続によって少年の保護処分が決められる。
- 少年事件の審判は、一般に公開されず、身近な関係者以外は出席できない。
- 少年を推知することができるような記事、写真の発表の禁止(少年法61条参照)。
少年事件の流れ
少年事件の逮捕後の手続
家庭裁判所に送致される前の手続
少年事件でも、証拠隠滅や逃亡の危険がある場合には、逮捕されるおそれがあります。
「禁固刑以上の刑にあたる犯罪」を犯した容疑で逮捕されると、警察が捜査して、事件を検察庁に送ります。検察官は、少年の送致を受けると、場合によって10日間勾留した上で捜査を行い、その後、家庭裁判所に送致します。勾留請求なく、直ちに家庭裁判所に送致することもあります。
なお、少年事件においては、勾留に代わる観護措置というものがあります。裁判官が観護措置を認めれば、少年は少年鑑別所に最大10日間収容されます。勾留も観護措置も、少年の身体が拘束されるという点では同じです。
「罰金刑以下の刑にあたる犯罪」を犯した容疑で逮捕されると、警察から家庭裁判所へ直接事件が送られます。具体的には、軽犯罪法違反などの場合です。
家庭裁判所送致後の手続
少年事件では、全ての事件が家庭裁判所に送られます。
家庭裁判所では、調査をして審判の必要性について判断します。少年が非行に至った原因や経緯等について詳細な調査が必要な場合は、観護措置として少年を少年鑑別所に収容します。この期間は、通常3~4週間程度ですが、長ければ8週間に及ぶ場合もあります。
裁判官は、調査を受けて、審判不開始か審判開始の決定を行います。
この段階で、審判不開始になれば、少年事件で警察に逮捕されても少年院に入らないですみます。